絵画風プリントに挑戦!/用紙レビュー(1) | ハーネミューレ・トーション

2015 年 9 月 30 日

さて、このブログでプリントについての話題を書くのは以前にハクバの額縁を紹介した記事をのぞけば今回が初めてになります。

僕がプリントに本格的にハマり始めたのは約1年以上前。自宅で気軽にプリントを楽しむための機材を一通り揃えてからです。

その機材というのは、プリンタの Canon Pro-10、カラーマネジメント対応モニターの ColorEdge CX241、キャリブレーションツールの i1 Display Pro色評価用蛍光灯スタンドなどです。

詳しくは他サイトで記述した以下の項目を参照してください。本稿で書くことは以下URLに記載されている記事の続きと考えて読み進めていってください。

第1回. 本気でおうちプリントをしようと思った理由

第2回. A3ノビ対応プリンター「CANON PRO-10」の購入

第3回. 環境光を整える/色評価用蛍光灯スタンドの購入

第4回. キャリブレーションツールの導入/i1 Display Pro の購入

第5回. カラーマネジメント対応モニター/ColorEdge CX241の導入

第6回. Print Studio Proでプリントしてみよう

第7回. 写真を飾ってみよう(1)/用紙サイズについて考える

第8回. 写真を飾ってみよう(2)/我が家の写真の飾り方

第9回. 写真を飾ってみよう(3)/ディスプレイバーの設置

第10回. 写真を飾ってみよう(4)/額縁をオーダーメイドしてみよう

 

さっそくですが、今回挑戦するのは絵画風プリント

油絵風な、水彩画風なそんなプリントに仕上げられたらいいなと思って選んだのが以下の写真。お盆に山中湖に旅行に行った時の写真です。

いつか見た景色

目指すのは絵本の1ページにでてきそうな懐かしさが感じられる情景。その世界観を表現するためには撮って出しJPEG ではちょっと物足りない、CaptureNX2 で彩度を上げてRAW現像し、TIFF出力した後で さらに Lightroom5 でハイライトのディテールを復活させて仕上げたのが上の画像です。

具体的には、(1)に湖面や水草、人物の洋服の彩度をあげ、(2)に空と雲のトーンを下げて立体感を引き立たせ、(3)にボードウォークのブライトネスを落として遠近感を強調させました。全体的な彩度も上げたため、モニターで閲覧するとやや彩度キツめに感じられますが、あくまでもプリントを想定したレタッチなのでこのぐらいがちょうどいいかなと判断しました。

 

次に、用紙選び

上の写真をより立体的に見せるためには用紙のテクスチャーはある程度、粗いほうが好ましい。かといって、写真そのものに荒々しい要素は皆無なので果たして粗いテクスチャーがこの絵に合うのだろうかとも思いました。

そこで、以前にヨドバシ秋葉で撮影してきたプリントサンプルのデータをひっぱりだしてきて、どの用紙がこの絵に最適かを吟味し始めました。

ヨドバシ秋葉に行ったことがある方は知っていると思いますが、ヨドバシの用紙販売コーナーはキヤノン、エプソン、ピクトリコ、阿波紙、ピクトランなどの国内有名メーカーの用紙はもちろんのこと、ハーネミューレ、イルフォード、キャンソンなど長年の歴史を持つ海外メーカーのインクジェット用紙が多数展示されています。

そのプリントサンプルを眺めているだけで1日が潰せてしまうぐらい写真好きには堪らないコーナーです。

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しかし、頻繁に秋葉原に行けるほど近くに住んでいるわけでもなし、多くても年に2回行ければ良いほうなので、用紙の癖や厚み、テクスチャーの模様、深さなどを頭のなかにインプットしておき、あとは撮影してきたサンプルをひっぱりだしてきてどんな用紙だったかなとすぐに思い出せるようにしています。

その用紙サンプルの中から選び出したのが以下の2枚。

1枚目は、以下写真の赤枠で囲ったイルフォードゴールドコットンテクスチャード。プリントされた写真は絵画の複製かなにかでしょうか、ものすごい迫力です。ただ、今回チョイスした写真をプリントするには用紙の色が黄色っぽい(白色度が低い)のが気になったので却下。

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2枚目は、ハーネミューレトーション。ハーネミューレの用紙の中ではあまり聞き慣れない用紙ですが、サンプルプリントではポップカラーな街並みがジブリ映画のワンシーンにでてきそう。空の青もキレイに出ているし、写真とも絵画とも見えるこの用紙は今回のプリントに使えるかもしれない!

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トーションの特徴を公式サイトから引用すると「ザラザラ感のある独特な面質と明るいブライトホワイトの白地が特徴です。時代を超えた美しさと立体感を印象付ける作品に仕上がります。」とのこと。

素材はアルファセルロース100%、厚み285g/m2となっています。

 

さっそくA3ノビを買おうとしたのですが、いや待てよ、25枚入りで1万3千円は失敗したら痛いなぁと思い、ハーネミューレのお試しセット(Mix Pack)/A4サイズ を先に買いました。

このミックスパックにはハーネミューレの用紙が11種類2枚ずつ入っているので、ハーネミューレの主要な用紙の特徴を知るにはこれが1番てっとり早く、そして安上がり。

ハーネミューレ・ミックスパック

 

お試しセットが届いてすぐにトーションの用紙を見てビックリ!テクスチャーが深めで、かなり粗い。もしかしたら今回のプリントには合わないかもしれないなぁと思いましたが、まずは試してみないことにはなにも得られないので(というかそのためのお試しセットだし)、さっそくトーションにプリントしてみてみることにしました。

 

プリンタドライバは CANON PRO-10 に付属の Print Studio Pro を使用。

ICCプロファイルはハーネミューレの公式サイトからダウンロードしたものを使い、マッチング方法は「相対的色域を維持」としました。余白を少なくしたいので PRO-10 の「用紙の種類」の設定は「他社ファインアート」ではなく、「マットフォトペーパー」に指定。給紙方法は「手差し」。

PIXUS Pro9500 や 9500 MarkⅡ では「用紙の種類」の設定をファインアート紙に指定しないとインクがマットブラックにならないため、黒の濃度がしっかり出ない(らしい)のですが、PRO-10 の場合、用紙の種類を「マットフォトペーパー」に指定しても黒の濃度はキレイにでてくれます。実際、PRO-10 がマットブラックを使っているか、フォトブラックを使っているのかは僕にはわかりませんけどね。

その辺りの情報はスッキリさせたかったこともあり、一度、キヤノンのサポートセンターにこの件について電話で問い合わせたことがあります。

返ってきた回答は、PRO-10 では「用紙の種類」の設定の違いでマットブラックかフォトブラックのいずれかを使いわけてはいない、あくまでも用紙の厚みやブラックインクの吐出し量を指定するための設定だと言われました。キヤノンのサポセンの人(最初に電話にでる人)はたいした知識もないイイ加減な人が出ることが多いのでどこまで信用していいのかわかりませんが、少なくとも折り返し電話するという手順を踏んで得た回答だったので、これが正確な情報であると信じたいところです。

結局のところ、「マットフォトペーパー」に指定してプリントして自分が問題ないと思えばその設定でいいと思うし、問題があると思うのであれば「他社ファインアート紙1」なり「他社ファインアート紙2」なりでプリントすればいいだけだと思います。ただし、「他社ファインアート紙」は余白に 30mm もとられてしまいますけどね(笑)。それが嫌ならエプソンにいってくださいということなのでしょう。

 

そして、上記の設定で仕上がったプリントがこれです!

ハーネミューレ・トーション/Torchon

 

アート紙は紙粉が多くでるので、プリント前に刷毛で紙扮を振り落としておくのは基本中の基本。

僕はホームセンターで購入した毛先の柔らかい羊毛の刷毛を使っています。馬毛でも良いと思います。サイズにもよりますが、1本1000円~1500円ぐらいで買えます。僕は大サイズと小サイズで揃えています。プロの中には1本1万円以上もする刷毛を使っている方もいるみたいですが、個人用途では1500円以内の刷毛で必要十分でしょう。

 

出力されたプリントを見た第一印象は、立体感と臨場感がすごい!ということ。

上の写真ではわかりずらいと思うので斜め上から意図的に光を当てた以下の写真をごらん下さい。どうでしょう、このテクスチャー感!雲の立体感!そして絵画風な表現力!色再現性も申し分ありません。液晶モニターの見たままを見事に再現してくれます。これはハーネミューレの用紙に共通していえることです。

ハーネミューレ・トーション/Torchon

 

角度を変えてもう1枚。実際に手にとって鑑賞してもらえないのが残念ですが、ひとつだけ言えることは確実にパソコンで見ている絵(データ)を超えるプリントを得ることができます。パソコンで見ていた原版データが平面的でつまらないものに見えてくるから不思議なものです。

ハーネミューレ・トーション/Torchon

 

ふぉふぉふぉ・・・

これだからプリントはやめられません。カメラを趣味にしているとレンズ沼、ボディ沼、バッグ沼、三脚沼、雲台沼など、いろんな沼が存在しますが、

用紙沼もハマる人はハマる深い沼のうちのひとつです!

 

本格的に用紙沼にハマると用紙1枚あたりの単価はどんどん高くなっていきますが、手間暇かけて撮った写真をベストな用紙で出力できる喜びはなににも変えがたい究極の自己満足だと思っています。

ハードディスクにしまって液晶モニターで鑑賞するだけではつまりません。満足のいく写真が撮れたらじゃんじゃんプリントしてひとりでニヤニヤしちゃいましょう!

たとえそれが家族や友人にまったく理解されず、「また無駄紙買ったの?」と小言を浴びさせられようとも、自分さえ満足できればそれで十分なのです(笑)。液晶モニターで見ている写真のほうがキレイだと思っている方、いま一度考えを改めてみてください。僕は断言できます。

プリントの描写は液晶モニターに勝るのです!

 

最後に補足しておくと、ハーネミューレ・トーションは非常に立体感が感じられる素晴らしいテクスチャーですが、写真を真正面から鑑賞したり、スポットライトを照射する角度によってはその深く粗いテクスチャー感はそんなに目立ちません。

用紙自体はマット紙なのでライティングによるギラツキ等の心配はありませんが、テクスチャーの特徴をはっきりと表現したいのであればライトを当てる角度に工夫が必要になることを付け加えておきます。

以上、今回は絵画風プリントに挑戦してみました。こんな調子で新しい用紙にトライする度に記事を更新していけたらいいなと思います。

次回は、アート紙で年賀状印刷!ハーネミューレ・バンブー編をご覧ください。